大切なトリはサギじゃなくてウラドリ

先日、帰省して夕飯を食べていたところに”長男”から連絡が来た。長男(=自分)は今まさに夕食のハンバーグを口いっぱいに頬張っているのでオレオレ詐欺である。

表示された番号を見て、「来た来た!ちょっと聞いてて!」と嬉々として母がスピーカーにして電話を取った。機転を利かせて華麗にあしらう姿を見せたいようだ。

後に聞いたところによると、年に2回くらいの頻度でこの番号からオレオレ詐欺の電話がかかってくるとのこと。「風邪ひいて声がかれちゃって」と言って診察料とタクシー代の名目で数万円をせびるらしい。両親が「昨日、コメと野菜を送った中に10万円入っているから使いなさい。明日には届くよ」と蕎麦屋の出前みたいな事を言うと”長男”は素直に「わかった。ありがとう」といって電話を切るそうだ。最近、芋づる逮捕された海賊団とは本気度が雲泥の差だ。

唐突に「体調崩してない?栄養ドリンクでも送ろうか?」などと届いていたLINEは両親の裏どりであったようだ。なかなか出来た親だ。

さて問題の”長男”であるが、今回は”長男”が勤める会社の経理部長を名乗ってきた。別のアプローチを考えたようだ。

「”長男”くんが会社のお金を使い込んでしまった。本人も反省しているし、今までの会社に対する貢献度も考えると、弁済してくれれば警察沙汰にはしない。ご両親で立替てもらえないか」と実に慈悲深い提案を頂戴した。

犯罪も見逃してもらえる程とは、うちの”長男”は結構、優秀な社員のようだ。しかも使い込んだ金額は実に1億円と度胸も申し分ない。本物とは比べ物にならない傑物だ。

しかしそんな大金は当然ある訳もなく、相手も1億円がポンと出てくる家庭がそうそうある訳では無いとわかってるだろう。このあとどのようにお金を出させるのか逆に興味が出てきた。

返事に詰まっていると慈悲深い経理部長は、金額が大きいので分割払いでOKという。でもこの慈悲にすがるには明日、500万円を支払って誠意を見せる必要があるとの事。なるほど、そう来たか。しかしだんだんと話の筋は通っている気がして来るから不思議だ。この話術で実演販売でもすればテッペン取れると思う。

一方の母は困った様子である。話が違うとでも言いたげな顔で「どうしよう」と口をパクパクさせて旦那と息子に意見を求める。機転はどうした。

しかし意見を求められた側も親子二代、機転の利かない生粋の勤め人である。

「いったんお預かりします」「担当者が居ません」「請求書は出せますか」などと勤め人根性の染みついた案しか出てこない。優秀な”長男”に比べて実に頼りない。

あまり返事に時間をかけると相手が怪しんで電話を切られてしまうと焦った母が放った言葉は、「うちに息子は居ません!」だった。両者しばらく沈黙ののち、”長男”が電話を切った。今まで何度か”長男”を名乗って会話のキャッチボールができていた手前、どのような気持ちであったろうか。

電話を切った後、母は「もうかかって来ないかもしれない」と残念そうにしていた。”息子”に少なからず感情移入しているようだ。母よ、皆そうやって騙されていくのだよ。というかもう半分、騙されてるよ。

余計な話をしないで直ぐに電話を切るように指導した。


話は変わって「輸血の血が欠品しそう!たすけて!」とけんけつちゃんからSOSメールが来た。そろそろ行こうかと思っていたタイミングだったので近場のセンターに予約を入れて献血をしてきた。

ただ寝て血を採られるだけでお菓子ビュッフェとドリンクバーを無料でご馳走してくれて、血液検査のサービス付き。さらに何回も参加するとプレゼントもくれる。自分は10回でタオルハンカチと小皿を貰った。何かの詐欺かと疑うほどのオイシイ話だ。

しかし「オイシイ話は裏がある」とご家庭でしっかり教育を受けてきた賜物なのだろうか、宗教や体質等ではなく献血に反対して参加しない人も少数ながら存在する。

そんな献血反対派の元同僚は「今は血液は作れる。献血は既得権益を守るだけの活動」という”先進的な”ご意見を高々と掲げていた。ネットの記事で読んだらしい。

裏どり重要と伝えたい。

ちなみに最近、献血は健康と美容に良いとネット記事で見た。

詐欺でも実害ないし、裏どりはしていない。

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