世間一般の価値観ではなんでも高いことが良いとされてきたと思うし、そう感じて生きてきた。
高学歴・高収入・高身長の3高という価値観が、本音の所では今だって生きている筈だ。
実際に年収が高い人から結婚していく的なことが結婚情報誌に書いてあったし、身長も社会的地位も、見上げるより見下す方が気持ちがいいに決まってる。
建築物だって世界で競って高い建物を建てている。
オリンピックだって金メダルの選手がお立ち台の一番高い所だ。
定期テストの点数も0点で喜ぶようなイカれた奴は見たことがない。
そんな世の中で低いほど良いとされ、嬉々として低く下げる価値観を持つ民族がいる。
シャコタン族、ローダウン族だ。
研究者ソンザ・イ・シナイ氏(1981~)によると、シャコタン族とは1970年代頃から確認されはじめた民族で、ボーソー族という民族と親和性が非常に高く、一緒に集団を形成して国家権力に反抗する姿が多く見られる事から同一視される事もしばしばだが、愛車のカスタムに一生懸命な微笑ましい生態の民族という見方もある。この上なく地面を愛し、愛車と地面との隙間にA4コピー用紙が何枚通ると通らないでヒエラルキーが決まるらしい。
ローダウン族はシャコタン族を祖とする民族で、シャコタン族よりも地面に執着しない個体も多くまた、一般人でもちょっとしたカスタム魂から1~2センチ程度、車高を下げてローダウン族にクラスチェンジする者も多いことから、一般人との区別すらも難しいこともしばしばである。近年においてはシャコタン族が法整備により絶滅に等しく、数の減ったシャコタン族をローダウン族内部の一派閥と見直す動きが学会にあるとかないとか。因みにローダウン族内には主流派のサスダウン派の他にタイヤナナメ派やエアロスキー派などいくつか派閥がある。
話は変わって、通勤の車を買い替えた。
たまたま時期が良いらしく、今乗っている10万キロオーバーのSUVの売値が予想以上に高値であったので思い切った。
何に乗り換えるかだが、予想以上に手元資金が残ったし一回くらいは高級車というものに乗ってみたい。でも4年位で乗り潰しだしなと迷ったが、中古で高級車を買ってみようと思いつく。現行も人気の高級ワンボックスの中古車を探しすことにした。
中古車といえども高級車種なので会社の駐車場では目立ってしまう。経理課という仕事柄、懐事情を知っている同僚や上司から横領を疑われかねない。少しでも目立たぬようにカスタムしていないノーマル仕様が良いとオーダーをする事にした。
ところが、この車種を所有する人は絶対にどこかイジらないと気が済まないようで車高を下げたり、ヘッドライトがギラついていたり、シイタケの笠の裏みたいな派手なホイールであったり、とにかく何かしらイジっている。そういう新興宗教でもあるのだろうか?イジりなさい。さすれば道は開かれん。
何店舗か回って良さそうな車両があって購入した。約10年前の登録の車両だがカスタム箇所は社外ナビ&後席モニターくらいで外装はノーマル仕様だ。ちょっと車高下がり気味でイカツいんだけど?と聞くと、もともとこういうカスタム設定があるらしく、つまりはノーマル仕様だと言う。当初の”目立たないように”という要望は考慮されていない気がしたが、いい加減、面倒だったので予算的にも合格だったので良しとした。
そして納車7日目。はじめてコンビニで前向き駐車したところ車止めにバンパーを衝突させた。擦ったのではない。衝突したのだ。口から出まかせ、もとい指から力まかせに話を盛っているわけでもない。そろそろ車止めだと思ってソロソロと寄って行ったので被害は音ほどではなかったが、大きくバンパーが割れた。
当たり前だが車止めに対してバンパーがあきらかに低い。NON STYLEくらい差がある。車止めに引っかかるローダウンは違反の可能性が出てくるのでノーマル仕様な筈はない。改めて観察してみるとどうも社外サスペンションが付いているっぽい。勘だが。何センチ落としたのかはわからないがマイルドにローダウンである。まんまと騙された。
今更、車屋は責められない。契約してしまったし、契約書には「ノーマル仕様を希望」との特約明記もしていない。
仕事上で取引のある車屋に相談したところ、社外サスペンションはまったくの勘違いで正真正銘、間違いなくノーマル仕様と判明した。ただし、ローダウン風カスタムが施されているので、車止めのタイプによってはバンパーが当たっちゃうことがあるので気を付けて下さいねとの由。危うくモンスタークレーマーになるところであった。
しかしメーカーにカスタム設定をさせるほどにローダウン族は影響力を持っているのだと驚いた。不便なのになぜそんなにも車高を低くしたがるのか。一体、低くて何がカッコいいというのか?理解に苦しむ感性だ。
「へ~、これでノーマルなんですか!ローダウン風でイカつくてカッコいいですね!コレにします!」
と7日前のほざいていたおっさんを問い詰めてやろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿